メールマガジン「Nutrition News」 Vol.161
健康・栄養に関する学術情報
 食べ物による脳老化の改善、認知症予防の可能性が!
 社会の高齢化の進行にともない、認知症患者は増え、大きな社会的問題となっています。認知症の有病率は,80歳代前半で約20%、その後年齢を5歳増すごとに約20%ずつ上昇すると言われています。そして、2025年時点の認知症患者の数は,700万人になると推定されています。

近年の研究から,認知症の発症リスクに関する多くの知見が収集され、生活習慣病を有する場合や、フレイル状態にある高齢者では認知症の発症率が高まることが認められています。これらを抑制する食品についての研究が進められています。

一方、食品の健康表示については従来の「特定保健用食品」に加え、「機能性表示食品」制度が2015年に開始され、心の健康領域に対しても,食品を通じて健康維持に貢献する道が拓かれています。今回は食品の脳機能改善機能の研究の現状を解説した論文を紹介します。

(内容)
 これまでに欧米・日本で行われてきたヒト試験(疫学研究や介入試験)でいくつかの食品成分の組み合わせや、ある種の食事パターンによって認知機能低下抑制が認められている。その中で、日本の疫学研究では乳製品摂取が多い方が認知症発症リスクを低減することが示されている。

筆者らは各種動物実験により脳の炎症反応を抑えることが重要であることを示した。また、各種食品成分を試験した結果、脊椎動物中の筋肉中に含まれるイミダゾールジペプチド(アンセリン、カルノシン)に高い効果を見出した。更に、高齢者ボランティア試験で、イミダゾールジペプチドを多く含む鶏肉より調製した試験食を継続摂取することで記憶機能が改善することを見出した。

参考

詳細は下記論文をご参照下さい。

久恒辰博 「食品成分による脳老化改善・認知症予防の可能性」
化学と生物 Vol. 54, No. 12, 2016

本論文は日本農芸化学会にてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=702

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