<新年のご挨拶>
コロナパンデミックで右往左往した年も3年が過ぎ、社会生活もある程度落ち着いてきたように思います。そして2022年12月6日から11日まで国際栄養会議(International Congress of Nutrition:ICN)が日本で開催されました。この会議は国際栄養学連合(International Union of Nutritional Sciences:IUNS)が4年に一度開催する栄養関係者のための国際大会です。2013年秋にスペイン・グラナダで開催されたICNの時に実施されたIUNS総会で、各国の代表者が投票して8年後のICN開催地を決定しました。折しも2020年のオリンピックを日本(東京)へ招致することが決まったIOC総会の10日後のことでした。私は当時、日本学術会議の中に置かれたIUNS分科会(IUNSの日本の窓口にあたる)の委員長をしていましたので、この招致活動を実質的に担ってきた日本栄養・食糧学会、日本栄養改善学会などをまとめる代表者としてグラナダに赴き、投票箱に「JAPAN」と書いた紙を放り込む役目を果たしました。長年かけてICN2021日本招致に成功した喜びは、その後の(会議の際中の?)アルハンブラ宮殿見学などの楽しさの中に紛れてしまった気もしますが、私の人生の思い出深い一場面であったことは間違いありません。
コロナ感染のために1年遅れて開催されたICN-Tokyo2022は3300人以上の参加登録を受けて無事に終了しました。天気も良く、青空と枯葉のきれいな東京国際フォーラムの広場には、キッチンカーの前に列を作って昼食を求める国内外からの大勢の参加者が見られ、彼らの笑顔にこちらもよい気分になりました。会議にはダノン・グループも貢献しました。会期半ばの12月8日朝には、当財団の親組織であるDanone Institute Internationalと米国栄養学会が連携して進めているYogurt in Nutrition Initiative Projectのシンポジウム「Eating to protect our health and our planet」が開催されました。シンポジウムは持続可能な食と栄養に関する大変意義のある討論の場になったと思います。
上記のシンポジウムを見てもわかるように、今や世界の食と栄養は「持続可能な食と健康」「持続可能な食料生産と食品製造」ということを中心に動き始めています。「人の健康を支える食と栄養」というこれまでの基本的な概念から大きく転回して、「地球・環境の健康も考えた食作り、栄養指導の在り方」が求められる時代になっているわけです。そのようなことを考えて昨年度のダノン健康栄養フォーラムは「環境と健康を守る食事について考える-Nutrition for all-」というタイトルの下で開催しました。皆様の中にはこの公開フォーラムに参加して下さった方も多いと思いますが、この新しい潮流はこれからも続くことでしょう。我々も頭を切り替えて人類の未来のために考え、行動していかなければなりません。
当財団は、ダノン社が展開するヨーグルトの研究と健康への貢献などもにらみながら、これからも皆様の役に立つ食情報の提供・発信を続けていきたいと思っております。
本年も当財団に対して一層のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。