2015年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
 肥満症・メタボリックシンドロームにおける大豆イソフラボンの 心血管疾患リスク軽減効果と腸内環境―プロバイオティクスの有効性― 
独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター
  
浅原 哲子 先生

 大豆イソフラボンはエストロゲン様作用や抗酸化作用を有し、メタボリック症候群(MetS)や脳梗塞などの心血管病の予防効果が期待されている。イソフラボンの中のダイゼインは腸内細菌の代謝によりエクオール(EQ)に変換されるが、EQ産生菌を持つ人(EP)と持たない人(ENP)が存在し、大豆摂取の感受性に影響する可能性がある。本研究は、肥満症・MetSにおいてEQ産生能及びEQ摂取の炎症・動脈硬化指標や単球機能などの心血管病リスクに対する影響を介入研究にて検討した。

要旨

 肥満症38例に自記式簡易栄養調査BDHQを施行したところ、豆類摂取率と乳類摂取率は、抗動脈硬化ホルモンであるアディポネクチンに正相関が認められた。また、肥満症54例において、EQ10mg/日の内服とプラセボ内服を用いたランダム化クロスオーバー試験を施行した。EPは17例(32%)であり、一般人の報告50%より低率であった。ENPに比べEPでは単球中のTNFα発現量が低い傾向を示した。EQ投与によりLDL-コレステロールと動脈硬化指標CAVIの有意な低下を認め、特に女性のENPで効果が顕著であった。 以上より、肥満症・MetSの心血管病予防には、豆類・乳製品類摂取量、またEQ産生の有無、さらにはENPに対するEQ投与の重要性が示され、肥満症・MetSにおけるオーダーメードな栄養指導プログラムの構築に向けた知見が得られた。

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