メールマガジン「Nutrition News」 Vol.150
健康・栄養に関する学術情報
ヨーグルトを造る乳酸菌共生発酵研究の最近の知見
 ヨーグルトは数千年前から食べられてきた発酵食品で、現在では健康維持効果も期待され世界中で食されています。その中に含まれる2種の乳酸菌、桿菌Lactobacillus deruburueckii subsp. bulgaraicus (L. bulgaricus)と球菌 Streptoccoccus thermopilus (S. thermophilus) が主となってヨーグルトは作られます。これらの乳酸菌は牛乳成分を発酵して酸味や風味成分などを作り出します。しかし、これらの乳酸菌を単独で発酵させると発酵の進行が遅れ、酸味や風味も充分に生成せず、また混在する他の微生物が繁殖して腐敗する場合もあります。これらの2菌種が共生することでヨーグルトが出来るわけです。
 この共生のメカニズムについては旧くから研究がなされ、L. bulgaricus が乳蛋白を分解してつくるアミノ酸・ペプチドとS. thermophilusが作り出すギ酸を互いが利用することが知られてきました。しかし、ゲノム解析を含む最近の分子生物学的研究の結果、共生に関連する多くの新たな知見が明らかになってきました。今回はこれらの最新の知見を解説した論文を紹介します。
 

(内容)
 第1部では過去10年に明らかにされた両菌のゲノム情報をもとに、長く共生したことによるゲノム変化(進化)への考察や共生による代謝変化などの知見を、第2部では最近明らかになってきた共生因子としての溶存酸素消費に関する筆者らの研究成果を、次のような事項に分け簡潔に解説しています。

1. L. bulgaricusとS. thermophilus によるヨーグルト発酵に関するポストゲノム研究

(1) ゲノムサイズの短縮と偽遺伝子による代謝系の欠落
(2) ミルク培地に特化した乳糖代謝
(3) 共生による役割分担:カゼイン分解
(4) 両菌間の遺伝子水平伝播
(5) ポストゲノムアプローチによる単菌 / 共生培養時の代謝変化の解析
(6) S. thermophilus におけるクオーラムセンシングによるL. bulgaricusの感知

2. ヨーグルト発酵におけるS. thermophilusの溶存酸素消費能の重要性  

 参考

  
詳細は下記論文をご参照下さい。
 

佐々木泰子 
「ヨーグルトを造る乳酸菌共生発酵研究の最近の知見」
日本乳酸菌学会誌 Vol. 26, 19-20, 2015 

本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslab/26/2/26_109/_pdf

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