「HACCPが原則義務化へ ―食品衛生法が約15年ぶりの改正」
今回の改正のポイントは次の通りです。
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- 中でも「HACCPに沿った衛生管理の制度化」について、原則すべての事業者に関わるものとして関心が高まっています。
HACCPによる衛生管理の原則義務化
HACCP(ハサップ)とは“Hazard Analysis and Critical Control Point ”の頭文字をとったもので、日本語では「危害分析・重要管理点」と訳されます。食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因を予め把握(Hazard Analysis)し、原材料の入荷から製品出荷までの全ての工程の中で危害防止のために特に重要な工程(Critical Control Point)を継続的に監視・記録することで安全性の確保を図る、国際的にも認められた衛生管理手法です。
従来の衛生管理は、最終製品の抜き取り検査によって行われていました。しかし、この方式では、検査を行わなかった製品に問題があった際に見逃されてしまうことや、問題がある製品が発見された場合に全ての商品の廃棄が必要になることなどが欠点でした。HACCPによる衛生管理では、抜き取り検査に比べて効果的に問題のある製品の出荷を防ぐことができると言われています。また、危害が発生したとしても、記録などをもとに原因を特定し、対応することができます。
今回の改定では、食品の製造・加工、調理、販売を行うすべての事業者が、HACCPに基づく衛生管理計画を作成することとされました。具体的には、HACCP7原則(表1)に基づき、事業者自らが、原材料や製造方法などに応じた計画を作成し、管理を行っていくこととなります。なお、HACCPに基づく衛生管理を行うことが困難な小規模事業者や飲食店などの一定の事業者については、各業界団体が作成する手引書を参考にHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行えばよいとされています。
表1 HACCP7原則
HACCPの制度化は、法律の公布日より2年以内に施行されることになっています(制度の本格導入に向け、施行後1年間の経過措置期間あり)。国は、HACCPの円滑な導入を促進するため、業界団体との連携のもと、業界ごとの手引書を作成し厚生労働省のホームページで公表するとともに、事業者の計画作成の支援や、研修会の実施などの取り組みを進めています。