メールマガジン「Nutrition News」 Vol.191
健康・栄養に関する学術情報
耳の老化と乳酸菌

 日本は世界に例を見ないスピードで高齢社会に突入しており、内閣府の高齢社会白書によると、高齢率は2050年には35%程度にまで達することが予想されている。著者らは、マウスモデルを用いて、加齢性難聴を抑制する食品を評価しうる実験系を確立した。作用機序は必ずしも明確になってはいないが、Lactococcus lactis ssp. cremorisに属する乳酸菌と春菊には加齢性難聴の進行を抑制しうる効果があることを見出している。

 筆者らはこれらの効果はおそらく、ミトコンドリアによる過酸化物質の産生とその結果生じる音を感じる細胞(蝸牛の有毛細胞)ならびに聴覚神経細胞のアポトーシスの抑制によるものと考えている。

 興味深いことに、加齢性難聴と認知症の発症には正の相関があることがわかってきたらしい。つまり、加齢性難聴を抑制しうる食品はもしかしたら認知症の発症をも抑制する可能性があるとのこと。

 高齢化に伴う生理機能の低下は即QOLの低下につながっていくため、これら老化抑制食品の摂取の有用性が十分な科学的データを基に語られるようになることを期待している。


参考


詳細は下記論文をご参照下さい。

日本食品微生物学会雑誌 第36巻 第1号 36392019

本論文はオンライン公開されており無料で閲覧できます https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfm/36/1/36_36/_pdf/-char/ja

 

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