メールマガジン「Nutrition News」 Vol.192
「所得による健康格差が浮き彫りに!? – 平成30年国民健康・栄養調査結果より」
 令和2年1月14日、厚生労働省は平成30年に実施した国民健康・栄養調査の結果を公表しました。今回の調査では、社会経済状況と生活習慣等に関する状況を重点項目としており、「所得と生活習慣等」「所得と食生活等」「就業時間と生活習慣等」それぞれについて比較した結果を掲載しています。

生活習慣等の所得差

 世帯の所得別(200万円未満、200万円以上400万円未満、400万円以上600万円未満、600万円以上)に、世帯員の生活習慣等の状況を比較した結果は、表1の通りです。世帯収入が低くなるほど、世帯所得600万円以上と比較して有意差があった項目が多くなっていることからも、生活習慣等において所得による格差があることが伺えます。

表1 所得と生活習慣等に関する状況(20歳以上)
★は世帯所得が600万円以上の世帯員と比較して群間の有意差があった項目


平成30年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)をもとに作成                

バランスの良い食事の所得差

 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる(以下、“バランスの良い食事”と記載)頻度が「ほとんど毎日」と回答した割合は、男性で45.4%、女性で49.0%でした。しかし、所得別に比較してみると、

●「ほとんど毎日」と回答した割合は、世帯所得600万円以上に比べて200万円未満で男女ともに有意に低い

●「ほとんどない」と回答した割合は、世帯所得600万円以上に比べて200万円未満で男女とも有意に高い

と、低所得世帯においてバランスの良い食事の頻度が低いという実態が浮かび上がりました。また、バランスの良い食事ができない理由については、次の回答に所得による有意差が認められました。

●「食費に余裕がない」(世帯所得600万円以上に比べて200万円未満で男女とも有意に高い)

●「外食が多く難しい」(世帯所得600万円以上に比べて200万円未満で男女とも有意に低い)

 なお、所得と食品群別摂取量を比較した結果、世帯所得200万円未満では、600万円以上に比べて肉類、乳類の摂取量とエネルギー摂取量が男女とも有意に低くなっています。

就業時間による生活習慣等の比較

 平均的な就業時間別(週1~39時間、週40~48時間、週49~59時間、週60時間以上)に生活習慣等の状況を比較した結果では、次のような傾向が見られました。

● 就業時間が週1~39時間の群では男女ともに健診未受診者の割合が高い

● 就業時間が週60時間以上の群では男女ともに肥満の割合が高い

 今回の調査から、所得による健康格差の実態が明らかになりました。誰もが健康に暮らせる社会を実現するためには、健康・栄養に対する個人の意識や知識を高めるような働きかけとともに、就業環境の整備など健康格差を生じさせる社会的な要因を改善していくことも必要となるでしょう。


詳細は下記をご参照下さい。

平成30年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html

 

 

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