メールマガジン「Nutrition News」 Vol.182
2017年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
新生児の自然免疫システムにおけるビタミンDの制御メカニズムの解明
大阪市立大学大学院 発達小児医学   

徳原 大介 先生

要旨

 新生児・乳児は感染症に罹患しやすく、また、症状が重篤化しやすいことが知られています。この時期の自然免疫応答は低く、特にToll様受容体(TLR)を介する免疫応答が未熟であることが知られています。一方、ビタミンD欠乏の新生児は乳児期における気道感染症のリスクが高まることも知られています。これらを考えあわせますと、ビタミンDは新生児の自然免疫系にベネフィシャルな影響を与えていることが考えられます。しかしながら、これまで正確な知見が得られておりません。そこで、ビタミンDが、臍帯血中のCD14陽性単球の機能に及ぼす影響について検討し、新生児の自然免疫系に影響を及ぼすかどうかを検証しています。

【内容】

『目的』新生児期のビタミンD欠乏は乳児期の下気道感染症のリスクを高めることが知られており、ビタミンDが新生児免疫に重要な役割を果たすことが示唆されているが、具体的なメカニズムについては分かっていない。本研究では、ビタミンDが新生児のToll様受容体(TLR)を介した自然免疫応答に与える効果について検討した。

『対象・方法』合併症がなく予定帝王切開による正期産12例(38.3±1.2週)の胎盤から分娩後に臍帯血を採取し、CD14陽性単球を分離した。単球を、ビタミンDを様々な濃度に調整した培養液中で24時間培養した後、TLR作動薬(LPS, Zymosan)を添加し、CO2インキュベーターで約12時間培養後、培養上清中のサイトカイン(IL-12p70, TNF-α, IL-10, IL-6, IL-1β, IL-8IFN-γ)濃度の測定、ならびに細胞表面分子(HLA-DR, CD11c, CD40, CD80, CD86)の発現の解析を行った。

『結果』LPSによる刺激では、サイトカイン産生と細胞表面分子発現に関してビタミンDの濃度による差異は認めなかった。Zymosanによる刺激では、細胞表面分子の発現はビタミンD添加による差異はなかったが、サントカイン産生に関して、ビタミンD添加(100ng/mL)群はビタミンD非添加群よりも有意に高いIL-8ならびにIL-6産生を示した。

『結果』ビタミンDは、新生児の単球におけるTLR2/TLR6を介した自然免疫応答を活性化する。

 

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