メールマガジン「Nutrition News」 Vol.163
健康・栄養に関する学術情報
 日照暴露が乏しい人はもっと多くのビタミンD摂取が必要
 ビタミンDの主な作用として、腸管からのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成と成長を促すことがあります。その他、がんや感染症、メタボリックシンドローム等と関連することも報告されています。ビタミンDは食事や薬剤の摂取だけではなく、紫外線照射により皮膚でも産生されます。肝臓で代謝された25(OH)DはビタミンD結合タンパク質と結合して血中に長期安定して存在するので、ビタミンD栄養状態の指標とされています。

 2015年版食事摂取基準では成人について5.5μg/日の目安量が設定されています。しかし、血中25(OH)D量とビタミンD摂取量との関連や日照暴露との関連などについて、日本人でのデータが乏しいことが問題とされています。今回は血中ビタミンDとビタミンD摂取量・日照暴露との関連、脂質摂取量との関連を調べた論文を紹介します。

(内容)
 日照暴露の少ない集団として色素性乾皮症患者を調べたところ、ビタミンD摂取量が低く、血中25(OH)D濃度も低かった。
また、日照の機会の少ない高齢者施設の人達では、摂取量の中央値は目安量を上回っていたが、血中25(OH)D濃度からはビタミンD不足ないし欠乏者が多いことがわかった。摂取量と血中濃度には正の相関がみられ、摂取量を増やせば所定血中濃度を充たせる可能性がわかった。介入試験を行った結果、日照の乏しい集団での低ビタミンD栄養状態を改善するには、最低でも20μg/日程度の摂取量で数か月にわたる介入が必要なことがわかった。

 また、ビタミンDの吸収については、脂質摂取量との関連があると言われている。脂質摂取制限のある炎症性腸疾患患者の血中濃度に関する調査を行った結果、ビタミンD摂取量を始めとする多くの項目の中で、脂質摂取量が唯一の有意な寄与をしていることが明らかとなった。


参考

詳細は下記論文をご参照下さい。

桒原晶子 「脂溶性ビタミンの臨床的意義およびその必要量の検討」
 日本栄養・食糧学会誌  Vol.70, No.6, 2017

本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/70/6/70_257/_pdf/-char/ja

 

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