メールマガジン「Nutrition News」 Vol.162
「知っていますか?食品表示―原料原産地表示の新ルール」

 平成2991日から、食品表示のルールが一部変わったことをご存知ですか?この改正で、これまで22食品群(製品に占める重量割合が50%以上の場合)及び4品目に限定して義務づけられていた原料原産地表示が、輸入品を除く全ての加工食品に義務づけられることになりました。

 “加工食品の原料の産地がどこか?”という情報は、商品選択の1つの目安となる一方で、その表示方法は条件によって細かく決まっており、決して単純ではありません。例えば、とある原料の原産地について「輸入又は国産」などと表示されるケースが考えられますが、この表示は何を意味しているのでしょうか? 今回は、原料原産地表示の新ルールについて解説します。

 この度の改正では、原則として重量割合が最も高い原材料に原産地表示が義務づけられています。原材料名は重量順に表示されることになっているため、最初に表示される原材料に対して原産地が表示されることとなります。また、原材料が国産品の場合には「国産である旨」が、原材料が輸入品である場合には「原産国名」が表示されます。
 では、原料原産地表示が具体的にどのようなルールに基づいて表示されるのか、ソーセージに使用される豚肉の原産地を例として見てみましょう。

国別重量順表示

 原料原産地の表示方法の原則は、国別に重量割合の高いものから順に国名を表示する「国別重量順表示」です。例えば、「豚肉(国産)」と表示されていた場合、国産の豚肉のみを使用していることを意味します。また、「豚肉(アメリカ、カナダ)」と表示されていた場合には、アメリカ産の豚肉とカナダ産の豚肉が使用され、その重量割合は「アメリカ>カナダ」であることが分かります。
 なお、原産国が3か国以上ある場合には、3か国目以降を「その他」と表示することが認められています。「豚肉(アメリカ、カナダ、その他)」と表示されていた場合には、豚肉の原産地はアメリカ、カナダを含めた3か国以上であり、その重量割合は「アメリカ>カナダ>その他の国」であることが分かります。


   

又は表示

 では、「豚肉(アメリカ又はカナダ)」と表示されていた場合はどうでしょうか。

加工食品では、原材料の産地が切り替わる場合があります。そのため、原産地として使用する可能性のある複数国を、過去の使用実績などから重量割合の高い順に「又は」でつないで表示することが認められています。つまり、「豚肉(アメリカ又はカナダ)」と表示されている場合の豚肉の産地は、①アメリカ産のみ ②カナダ産のみ ③アメリカ産とカナダ産の両方(アメリカ産>カナダ産) ④アメリカ産とカナダ産の両方(カナダ産>アメリカ産)の4パターンが考えられます。「豚肉(国産又はアメリカ)」と表示されていた場合も同様の考え方となり、過去の使用実績などから見ると国産の豚肉の重量割合が最も高いが、その商品自体が国産の豚肉を使用したものとは限らない、と捉えることもできます。

なお、使用する可能性のある国が3か国以上の場合には、3か国目以降が「その他」と表示されることがあります。

大括り表示

 原材料を3か国以上から輸入しており、且つ、時期によって重量割合の順位が変動したり産地が切り替わったりする場合には、国別重量順に表示することが困難であることから、原産地を「輸入」と大括りにして表示することが認められています。

 「豚肉(輸入、国産)」と表示されていた場合には、3か国以上の外国産の豚肉と国産の豚肉を混合して使用し、その重量割合は「外国産>国産」であることが分かります。
 

大括り表示+又は表示

 A国、B国、C国、日本の4か国の豚肉を使用しているものの、1~3月はA国産、4~6月はB国産、7~9月はC国産、10~12月は国産の割合が最も高くなるなど、時期によって重量割合の順位に変更があることがあります。その場合には、“大括り表示”と“又は表示”が併用されます。例えば、「豚肉(輸入又は国産)」と表示されていた場合、豚肉の産地は、①輸入のみ ②国産のみ ③輸入と国産の両方(輸入>国産) ④輸入と国産の両方(国産>輸入)の4パターンが考えられます。

製造地表示

 原料原産地表示の対象となる原材料自体が加工食品である場合があります。その場合には、原材料となる加工食品が製造された場所が「○○製造」として表示されます。例えば、国内で製造されたソーセージを最も多く使用した加工食品の場合は、「ソーセージ(国内製造)」のように表示されることになります。なお、「国内製造」とはあくまで国内で作られたことを示しており、ソーセージの原材料として国産の豚肉が使用されているという意味ではありません。

 

 このように、全ての加工食品に原料原産地表示が義務づけられると言っても、必ずしも消費者が知りたい情報を得られるとは限りません。しかし、日本は食料自給率が低く、食品の多くを輸入に頼らざるを得ないのが現状です。原材料の産地が切り替わるごとに表示も変更するのでは事業者にとって負担が大きいことなど、様々な事情も理解する必要があるのかもしれません。
 平成301月現在は新ルールへの移行期間となっており、平成343月 までは従来の基準による表示が認められています。そのため、今後、徐々に店頭でも新ルールに基づいて表示された商品を見かけるようになるでしょう。複雑な表示の意味を正しく理解して、商品の選択に役立てたいものです。

 

 

詳細は下記をご参照下さい。

食品表示基準一部改正のポイント(消費者庁)※PDFファイル

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/pdf/country_of_origin_170901_0008.pdf

 

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