メールマガジン「Nutrition News」 Vol.158
「旬を食べよう!-さんま」

 江戸の郊外、目黒の百姓の家で食べた焼きたてのさんまの味が忘れられないお殿様。しかし、庶民の魚であるさんまが屋敷の食卓には出てくるはずもなく、親戚に食事に呼ばれた際、すかさずさんまを注文。親戚は、日本橋の魚河岸からさんまを取り寄せるも、脂が体に障ってはいけないと十分に蒸して脂を抜き、小骨まで取り除いたものをお殿様に差し上げた。当然、そのようなさんまがおいしいわけがない。「このさんまはいずれより取り寄せた?」「日本橋魚河岸でございます」「それはいかん、さんまは目黒に限る!」―これは、有名な落語「目黒のさんま」です。

 夏が過ぎ、過ごしやすい秋がやってきました。秋は様々な食材が収穫期を迎えますが、中でも、さんまは「秋の味覚」として真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

脂がのっておいしい秋のさんま

 さんまは、太平洋北部に広く生息する魚です。夏には北上し、豊富なプランクトンを食べて体に脂肪をたくわえ、8月半ば頃から秋にかけて、産卵のために南下を始めます。この南下の時こそがさんまの旬、脂ののったおいしいさんまが北海道や東北地方を中心に水揚げされ、市場に出回るのです。旬を過ぎる頃のさんまは、回遊のためにエネルギーを消費することなどから、脂ののりは少なくなります。
 新鮮で脂ののったさんまは、口先が黄色く、身は太っていて張りがあると言われています。


 おいしいさんまの見分け方

 
 
 

豊富なn-3系多価不飽和脂肪酸

 
 さんまには良質なたんぱく質のほか、鉄やビタミンB12などが多く含まれていますが、中でも特徴的なのは、心血管疾患の予防効果が報告されているEPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富であることでしょう。その含有量は、他の魚と比べてもトップクラスです。

主な魚のn-3系多価不飽和脂肪酸含有量(可食部100gあたり)

 

いわき市の郷土料理「ポーポー焼き」


  福島県いわき市には、小名浜港を中心に水揚げされる新鮮なさんまを使った料理が数多くありますが、中でも、さんまを三枚におろして叩き、生姜、ねぎ、味噌を加えたものを小判型に成形して焼いた「ポーポー焼き」は、代表的な郷土料理です。また、いわき市が発祥と言われるさんまのみりん干しは、この地域の土産品としても人気です。
 そのほか、さんまのすり身を入れた「すり身汁(つみれ汁)」などは、東北地方の家庭料理として受け継がれています。

 


 参考

海面漁業生産統計調査(農林水産省)

http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/

とうほく食のもの知り隊/わたしたちの食卓/さんま(東北農政局)        

http://www.maff.go.jp/tohoku/monosiritai/syokutaku/sanma.html

全国さんま棒受網漁業協同組合ホームページ

http://www.samma.jp

 

 

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