メールマガジン「Nutrition News」 Vol.237
2021年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
腸管バリア機能を強化するLactobacillus株のスクリーニングと有効性の検証
千葉大学大学院 医学研究院 イノベーション医学領域

倉島 洋介 先生

要旨

 腸内細菌の構成異常は炎症性腸疾患や関節炎など様々な疾患の悪化に繋がり、プロバイオティクスによる腸内環境是正の重要性が昨今再認識されている。我々は、炎症性腸疾患を抑制する機能分子の探索し、膵臓の腺房細胞が分泌する糖タンパク(Glycoprotein 2GP2])が腸炎を抑制することを見出した。膵臓由来のGP2は小腸管腔内の特定の腸内細菌に結合しており、GP2が腸内細菌の共生と排除に関わる機能分子であることが示唆された。そこで、GP2が結合する腸内細菌を分離したところ、一部のLactobacillus spp.が得られた。GP2結合Lactobacillus spp.を単独でマクロファージに添加するとIL-6やTNFなどのサイトカイン産生は起こらないが、GP2を結合させたLactobacillus spp. を添加した場合にはマクロファージからサイトカインが産生された。つまり、生体内部においてLactobacillus spp.GP2と結合することによって強い免疫賦活作用を獲得していることが示された。本成果は、強力な免疫モジュレーターとしてのGP2結合Lactobacillus spp.という新たな視点から、より有効なプロバイオティクスの創出につながる。

 

 

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