メールマガジン「Nutrition News」 Vol.225
2020年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
口腔の健康に寄与する乳酸菌発酵食品摂取についての多面的疫学研究
九州大学大学院 歯学研究院 口腔予防医学分野 

古田 美智子 先生

要旨

 口腔の健康の維持・増進は、健康的な日常生活を営むために重要である。本研究では、口腔の健康を維持するために必要な食事摂取状況を把握することを目的に、日本と韓国の国際比較研究と日本人を対象とした縦断研究を行った。

 国際比較研究では、日本は地域住民 4079 歳の 2,065 人のデータを用い、韓国は韓国国民健康栄養調査の 2,890 人のデータを用い、栄養素摂取量を評価した。歯周病と関連があった栄養素は総食物繊維であった。両国における歯周病の有病率の違いは総食物繊維摂取量が関与するかを寄与率で評価したところ、その値は小さく、他の要因との関連性が示唆された。

 日本人を対象とした縦断研究では、4079 歳の地域住民 1,469 人を対象とし、発酵乳製品摂取量に着目し、5 年後の歯の喪失との関連性を調べた。その結果、発酵乳製品を全く摂取しない者に比べ、1 80g 以上摂取する者では 5 年後に歯を2 本以上喪失するリスクが低かった(Incidence rate ratio 0.7395%信頼区間 0.53-0.99)。また、口腔マイクロバイオームとの関連性では、発酵乳製品を全く摂取しない者では、口腔の状態が不良となる細菌種構成パターンになっている割合が高かった。本研究の結果から、口腔の健康を維持するためには、発酵乳製品の摂取が必要であることが示唆された。

 

 

 

 

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