メールマガジン「Nutrition News」 Vol.213
2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
食餌誘導性肥満と加齢による視床下部変性の共通作用機構における ペルオキシソームの役割の解明
神戸大学大学院 医学研究科 生化学・分子生物学シグナル統合学分野 病態シグナル学

杉浦 歩 先生

要旨

 視床下部は個体の恒常性調節の中枢である。代謝性疾患や加齢モデルマウスの視床下部において神経幹細胞の減少や炎症の亢進など共通の変性所見が観察されており、視床下部の変性と加齢性疾患との関わりが徐々に明らかにされつつある。視床下部の第三脳室に面した側壁の一部を構成するタニサイトは、栄養素の感知に加え、自己増殖能や神経細胞への分化能といった機能を持ち、神経幹細胞として視床下部の機能維持や調節において重要な役割を担っている。しかし、糖や脂質の実際の代謝の場であるオルガネラのタニサイトにおける応答については未知な部分が多く残されている。

 本研究は、細胞内代謝の中心的オルガネラの一つであるペルオキシソームに着目し、食事誘導性肥満と加齢による視床下部変性の共通作用機構を解明することを目的とした。高脂肪食摂餌マウスをin vivo、パルミチン酸処理した初代培養タニサイトをin vitroの食事誘導性肥満モデル、24ヶ月齢以上のマウスを加齢モデルとして、ペルオキシソームを解析した。食事誘導性肥満モデルにおいてペルオキシソーム特異的オートファジーであるペキソファジーの抑制が観察され、視床下部変性にペルオキシソームが関わっていることが示唆された。

 

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