メールマガジン「Nutrition News」 Vol.204
「食習慣の改善、4人に1人は『関心はあるが改善するつもりはない』-令和元年国民健康・栄養調査結果の概要より-」

 令和2年10月、厚生労働省は、令和元年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果の概要を公表しました。今回は“社会環境の整備”が重点項目とされ、食事や運動習慣の改善の意思、食生活に影響を与えている情報源などの状況について調査が行われました。

食習慣改善、4人に1人は「関心あるが改善するつもりはない」

 食習慣改善の意思については「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した割合が最も高く、男性で24.6%、女性で25.0%でした。なお、食習慣改善の意思をBMI別に見てみると、男女ともに BMI が普通(18.5以上25未満)および肥満(25以上)の人では「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した割合が最も高く、やせ(18.5未満)の人では「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した割合が最も高くなっています(図1)。

                  図1 BMIの状況別 食習慣改善の意思(20歳以上、男女別)

                           「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」を元に作成

 健康な食習慣の妨げとなる点については「特にない」と回答した割合が35.3%と最も高く、次いで「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」(27.5%)、「面倒くさいこと」(25.3%)となっています。これを食習慣改善の意思別に見ると、「改善することに関心がない」「関心はあるが改善するつもりはない」「既に改善に取り組んでいる」人では健康な食習慣の妨げになる点が「特にない」と回答した割合が最も高く、改善意欲がある人では「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」と回答した割合が最も高くなっています。

※「改善するつもりである(概ね6ヶ月以内)」および「近いうちに(概ね1ヶ月以内)改善するつもりである」と回答した人

食生活に影響を与えている情報源はテレビや家族、若い世代ではSNSも

 食生活に影響を与えている情報源は「テレビ」と回答した割合が52.3%と最も高く、次いで「家族」(36.6%)、「友人・知人」(23.8%)、「雑誌・本」(23.1%)となっています(表1)。

 なお、近年普及しているソーシャルメディア(SNS)は、全体では7.7%と低くなっていますが、年代別に見ると20歳代で28.5%30歳代で22.0%と比較的高くなっており、若い世代を中心にSNSの情報が食生活に影響を与えていることが分かります。
      

表1 食生活に影響を与えている情報源(20歳以上、男女計、年齢階級別)
 
                 ※複数回答のため、内訳の合計は100%になりません。
                「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」を元に作成
                        

健康な社会を実現するために

 今回の調査結果では、“健康無関心層”の実態が明らかにされました。国民の健康意識の底上げは重要な課題であると考えられ、そのためには、行動変容理論を取り入れた保健指導など、管理栄養士をはじめとした専門職の活躍に期待されるでしょう。また、食生活に影響を与えている情報源についての調査結果は、メディアの発信する情報の質や、国民のヘルスリテラシーの向上の必要性を示唆しているのではないでしょうか。

 社会環境の整備などのポピュレーションアプローチ、特定保健指導などのハイリスクアプローチを効果的に行い、健康な社会を実現することが求められています。                
               

 

参考

調査結果の詳細は下記をご参照下さい。
令和元年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html

 

 

 

 

 

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