メールマガジン「Nutrition News」 Vol.144
健康・栄養に関する学術情報
育種革命をもたらすゲノム編集技術
 近年、「ゲノム編集」という言葉をメディアで聞く機会が増えてきました。ヒトを含む各種生物のゲノム解析が進んでおり、遺伝子の機能解析も進んでいます。しかし、遺伝子のDNA配列を意図したように改変したいと考えても、従来はそれを可能とする技術がありませんでした。最近になり開発されたゲノム編集技術では、ゲノム上の特定配列を認識する部位(タンパク質やRNA)とDNAを切断する部位(制限酵素)を結合した人工分子を利用して、狙った部分を改変することも可能となってきました。高等生物の遺伝子改変をこれまでより容易にすることを可能とし、医療での応用や栽培植物・家畜などの育種への応用が期待されています。
 一方で、外来DNAを残さない遺伝子改変も可能であり、安全性や規制のあり方についての議論も起こってきています。今回紹介する論文は、農林水産省農林水産技術会議事務局に属する筆者が、農産物の育種への応用を中心として解説したものです。
 
(内容)
本論文中では次のような事項が解説されています。
1. ゲノム編集技術などの新たな育種技術の開発  
ゲノム編集技術の基礎的内容および農作物を中心とした利用研究の現状

2. 内閣府戦略的イノベーション創造プログラムにおける研究開発の推進  
総合科学技術・イノベーション会議を司令塔として、府省・分野横断的に研究開発を重点的に進めるために「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP;平成26~30年度)」を推進していること 農林水産分野においても,このSIPの枠組みのなかで1) 国産技術の開発、2) ターゲット遺伝子のリソース化、3) 画期的な新品種・育種素材の開発、4) 社会実装に向けた調査研究の4項目の分担推進を図っていること

3.社会実装に向けた課題  
実用化に向けて大きな課題となる二つの事項の解説
1)ゲノム編集技術の特許動向 
2)遺伝子組換え規制上の取扱いの明確化と国際調和の推進 。

 参考

  
詳細は下記論文をご参照下さい。
 
鈴木富男 
「育種革命をもたらすゲノム編集技術」
化学と生物 Vol. 54, No. 9, 2016 

本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=655
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