メールマガジン「Nutrition News」 Vol.123
健康・栄養に関する学術情報

高齢者における牛乳摂取と身体活動に関する研究
牛乳・乳製品はタンパク質やカルシウムの優れた供給源ですが、その摂取が高齢者の健康維持に有用であることは多く報告されています。これまで、骨粗鬆症、歯周病、循環器系疾患などの生活習慣病の予防に関する研究が多くなされてきました。また運動と乳製品摂取に関しては、サルコペニア予防を目的としたレジスタント運動負荷時における乳製品摂取効果の報告はありますが、日常生活における身体活動と乳製品摂取の関係に関する報告は少ないのが現状です。
今回は、高齢者の疫学調査を行い、牛乳・乳製品の摂取と運動、身体指標などとの相関を調べた研究報告論文を紹介します。

(内容)
群馬県中之条町在住の179名の高齢者を対象に、FFQgを用いた栄養摂取調査、加速度センサー内蔵測定器を用いた身体活動量調査、歩行速度測定、マルチ周波数体組成計を用いた体組成測定、血清アルブミン濃度測定、超音波骨評価装置を用いた骨強度測定を行った。
調査・測定結果を統計検定した結果、全対象者を低牛乳摂取グループと高牛乳摂取グループに分けると日常生活における身体活動量、歩行速度、筋量、骨強度、および血清アルブミン濃度で高牛乳摂取グループが有意に高値を示した。
また牛乳摂取量と身体活動の相乗効果を判定するためにサルコペニア発症相対危険度のオッズ比を算出したところ、「低牛乳摂取+低身体活動」グループは他の群に比べて有意に危険度が高かった。
これらより、高齢者における牛乳の摂取は身体活動や体組成の向上に有用である可能性が示唆された。

 参考

  
 詳細は下記論文をご参照下さい。
 
川上 浩、朴 眩泰、朴 晟鎭、青柳 幸利
 「高齢者における牛乳摂取と身体活動に関する研究」
 ミルクサイエンス 63 (3) 145-153, 2014
 
 本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/63/3/63_145/_pdf
 
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