講演3

座長
新百合ヶ丘総合病院 消化器・肝臓病研究所 所長 
井廻 道夫

「睡眠とヘルシーエイジング」
医療法人財団厚生協会 東京足立病院 院長 
東邦大学 客員教授
内山 真

 睡眠は心と身体を休息させ、日中の活動による疲労から私たちを回復させ、明日に向け心身の準備を整えます。快適な睡眠で安らかな休息を取ることは、日中生き生きと活動し、充実した毎日を送るためにとても重要です。人生100年を考えると、私たちは一生に30年くらい眠っているのです。
 私たちの睡眠も歳をとります。子供の頃は本当に長く眠りました。成人すると1日7時間くらいになり、これ以降は少しずつ短くなってきます。自分が歳をとってみるとこうした変化について、むかし両親はどうだったのだろうか、今の睡眠のままでいいのだろうかとふと心配になります。
 退職、子供の独立などで生活スタイルが変化すると、特に大きなストレスがなくても、寝つきが悪い、睡眠が浅い、早くから目覚めてしまうなど、眠るのに困難を感じることがあります。寝床に入っているのによく眠れないととても辛いものです。さらに翌日の心や体のコンディションにも影響します。
 世間では睡眠への関心が高まっています。睡眠についての進んだ研究が取り上げられることも増えてきました。こうした情報から、睡眠に問題があると種々の病気にかかりやすくなること、それだから良い睡眠が重要だということはよくわかりました。しかし、自分自身の感じている睡眠の疑問には答えてくれていないと思う方も多いと思います。
 ここでは、同年代の健康な人はどのように眠っているのか、健康な人にとってどのような睡眠が好ましいのか、つまり睡眠のヘルシーエイジングについて最新データから考えます。そして熟年世代に特徴的である不眠症などについて、皆さんが自分のこととして受け止められるように、どんな感じがして、どう苦しいのかという自覚的側面を含め紹介します。
 最後に、睡眠と熟年期の心身の健康、つまり睡眠とヘルシーエイジングついて、皆さんの個性に合わせた日常生活実践について提案します。すでに睡眠について悩んでいる人のためには、睡眠薬や睡眠に対するこだわりを解消するための手がかりをお話ししたいと思います。

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