講演2

座長
新百合ヶ丘総合病院 消化器・肝臓病研究所 所長
井廻 道夫


「高齢者の低栄養と運動機能」
東京大学大学院 医学系研究科 加齢医学 准教授
小川 純人


 
 高齢者のフレイル(虚弱)については、「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対す
る脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡等の転帰に陥りやすい状態」とまとめられてお
り、要介護リスクの増大に加えてQOL や生命予後にも影響を及ぼすことが知られている。このため、
超高齢社会を迎えたわが国において、早期からのフレイル対策を含めた介護予防対策や啓発は重要と
考えられる。最近発表された2040 年を展望したわが国の指針等においても、健康寿命の延伸プラン
の柱の一つとして介護予防・フレイル予防・認知症予防が掲げられている。近年、こうしたフレイル
の重要かつ中核的な要素として、骨格筋を中心に筋量や筋力の低下を特徴とするサルコペニア(加齢
性筋肉減少症)が注目されるようになってきており、日本人を含むサルコペニアの診断基準や診療ガ
イドラインが発表されるに至っている。
 また、これまでの研究から、サルコペニア・フレイルの発症や進行や身体・運動機能の低下には、
加齢に伴う栄養障害やビタミンD・ホルモンの動態変化をはじめとする、種々の要因が関与している
ことが次第に明らかになってきている。とりわけ高齢者における低栄養に関しては、たんぱく質や総
エネルギー量の欠乏状態であるProtein Energy Malnutrition (PEM) が特徴の一つとして挙げられ
る。高齢者におけるPEM はサルコペニア・フレイル、身体・運動機能低下とも関連し、日本人の食
事摂取基準(2020 年版)の改訂おいても、低栄養予防やフレイル予防を視野に入れて進められてき
ている。
 今回、高齢者の低栄養と運動機能について、サルコペニア・フレイルと低栄養との関連性、ならび
にPEM 対策やアミノ酸・ビタミンD を含めた栄養介入、運動介入をはじめとした多面的アプローチ
とその可能性を含めて紹介したい。

 

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