講演1

座長
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 顧問
大内 尉義


「コロナ禍におけるフレイル対策の実際」
国立長寿医療研究センター 理事長
荒井 秀典
 

 
 コロナ禍において、感染予防のために、また緊急事態宣言発令により外出の自粛が求められたこともあ
り、高齢者を含め多くの国民が外出を控え、他人との接触を控えることとなった。そのため、家から出な
い閉じこもり生活により低活動となっている高齢者が増えている。また、活動量の低下のみならず近隣や
親族・知人との交流が減り、社会的な孤立が進むことが懸念された。そのため我々は高齢者における身体
活動がCOVID-19 により影響を受けたかどうかを検討するために、2020 年1 月から2020 年4 月までの
COVID-19 流行期間中の日本人高齢者における身体活動時間の変化を調査することとした。その結果、
総身体活動時間を比較すると、2020 年1 月に比べて、2020 年4 月の総身体活動時間が約30%減少して
いることがわかった。また、フレイルかどうかのカテゴリー別に分析を行ったところ、すべてのカテゴリ
ーで2020 年1 月よりも2020 年4 月の方が総身体活動時間が有意に減少していた。ベースラインにおけ
る活動時間は、健常からプレフレイル、フレイルとなるに従って、減少傾向を示した。その後も調査を続
けたところ、独居で社会参加のない高齢者において、身体活動時間の低下が最も大きく、しかも回復しな
いことが示された。
 高齢者において重症化リスクの高いCOVID-19 に対する適切な感染対策を行うことはいうまでもない
が、高齢者においては、感染を恐れるあまり、閉じこもりや低活動を起こしやすい。そのため、適切な啓
発を行うことにより、高齢者が身体活動・社会活動を継続しやすい環境を整備し、フレイル予防、身体機
能低下を予防することが求められる。我々は、COVID-19 感染拡大早期から高齢者における生活不活発
の問題を認識し、感染制御と健康障害のバランスをとることの重要性を啓発した。さらには家庭内でも活
動性を維持できるように、在宅活動ガイド2020 年版を作成した。フレイル予防には活動とともに適切な
栄養摂取も重要であり、健康長寿教室テキスト第2 版として、コロナ禍を意識した栄養摂取の重要性を具
体的なメニューとともに示している。また、オンラインを活用した通いの場への参加も奨励している。今
後のWith コロナ時代において高齢者の健康寿命の延伸を進めるためには、国民一体となって、感染予防
と健康寿命の延伸に向けて活動を行うべきである。

  

1 2 3 4 5 6
  • ごはんだもん!げんきだもん!
  • ダノングループ・コーポレートサイト

ページトップへ戻る