メールマガジン「Nutrition News」 Vol.171
2016年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
6日間の朝食欠食が生理学的指標に及ぼす影響-体内時計に着目して
広島大学大学院 総合科学研究科 (旧勤務先:筑波大学 体育系) 

緒形 ひとみ 先生

要旨

 健康ブームの現代において、糖質制限食をはじめとし、食に関するさまざまな提言に対して関心が高まっている。一方、若年男性の約4割が朝食欠食していると報告されているように、不規則な食事摂取パターンも着目されている。健康の三大要素で、かつ体内時計の同調因子である食事はそのタイミングを変えることにより、望ましい生活リズムを獲得することができる可能性があるが、これまでヒトを対象とした食事と生体リズムに関する研究はわずかである。本研究では朝食欠食が日内リズムに及ぼす影響を評価検討することで、朝食摂取の有効性について生理学的視点から明らかにすることを目的とした。

 

 10名の若年健常男性を対象とし、6日間の朝食欠食がエネルギー代謝や血糖値、深部体温リズム、時計遺伝子発現リズム、メラトニン分泌開始時刻の日内リズムに及ぼす影響を評価検討した。その結果、1日に摂取するエネルギー量が等しければ24時間のエネルギー消費量に差は生じないものの、酸化基質、血糖値および体重には影響を及ぼし、また朝食欠食により午前中の体温はやや低く、位相(生体リズム)が後退する(夜型になる)ことが示唆された以上のことから、夜型になりやすい若年健常男性においては、朝食摂取が体調管理において重要な要素である可能性が示唆された。

 睡眠・覚醒といった生体リズムに影響を及ぼす体内時計については、末梢時計の指標には多少の変化が認められたが、今後さらに解析を進め、現代の飽食かつ24時間社会における望ましい食生活を提案していきたい。

*末梢時計
 地球の24時間とヒトの概日リズムには微妙なズレが生じます。リズムを司る体内時計には2種類があり、主時計は脳の視床下部の視交叉上核に、末梢時計は各臓器にあります。主時計は光により、末梢時計は食事・エネルギー摂取によりリズムが調節され地球の自転に同調されると言われています。

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