メールマガジン「Nutrition News」 Vol.234
2020年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
“実証食育”で健康長寿復興を目指す元気沖縄プログラムの基礎研究
現所属:京都工芸繊維大学 研究員
(旧所属:東海大学 健康学部 健康マネジメント学科) 

森 真理 先生

要旨

 子どもの頃からの健康維持、増進や生活習慣病の1次予防には、バランスの良い食習慣が重要である。これまで申請者が行ってきた栄養介入研究では、4週間の減塩昼食の摂取で24時間採尿中のナトリウム(Na)の有意な改善が確認でき、2週間350gの蒸し野菜の摂取では、24時間採尿中のカリウム(K)量の有意な増加と、ナトリウム/カリウム比の有意な改善が見られ、24時間採尿中の栄養バイオマーカーが食生活を反映していると考えられた。

 本研究は、子どもへの食育を行う際に、客観的かつ非侵襲で栄養状態を評価する方法として、尿中栄養バイオマーカーを用いることを検討するために、24時間採尿と同日に採取する早朝第一尿の栄養バイオマーカーを用いて推定式の作成を試みた。

 これまで食育で関わってきた教育委員会や関係者の協力のもと説明会を開催し、保護者と本人の同意を得た協力児童に24時間採尿とスポット尿の採取、簡単なアンケート調査に回答してもらった。全6地域、10集団の132人が研究に参加し、24時間採尿の成功した101名を解析対象者とした。推定式は食塩摂取量、Na/K、マグネシウムで作成した。サンプル数が目標数に達していないため継続してサンプルを採取することで、食育に活かせるようにしたいと考える。なお、本研究は2019年に小学生の栄養課題を評価するために実施した “元気沖縄プログラム”の早朝第一尿の栄養バイオマーカーを評価することを目的に、主たる研究を沖縄で行う予定ではあったが、コロナ禍の事情により様々な地域の方々のご協力により実施できた貴重な研究となった。

 

 

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.234
2020年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
本邦における、知的または運動障害を有する小児の栄養摂取状況調査
現所属:埼玉県立小児医療センター
(旧所属:東京大学大学院 医学系研究科) 

竹添 豊志子 先生

要旨

 障害を持つ子供たちにとって、適切な食事摂取は心身を健康な状態を保つ上で重要な因 子であるが、彼らの食事摂取状況についての報告は少なく、現状の把握や問題点の指摘が難しい。そこで我々は、障害児を対象とした詳細な食事調査を実施することを計画した。

 対象は、別に定めた包含基準および除外基準に合致する児 25 名とした。調査内容は身体計測、身的特性と生活習慣の聴取、そして 3 日間の秤量食事記録であった。栄養素摂取量の評価には、我が国の日本人の食事摂取基準 2020 年版を用いた。また、算出した全対象者の栄養素摂取データを用い、経腸栄養剤を除くすべての食品、飲料からの摂取量のうち、栄養素ごとの食品群の寄与率を検証した。

  7~16 歳の児 25 名のうち半数以上が基準値を満たしていなかった栄養素は、鉄、カルシウム、ビタミン B1、食物繊維、ビタミン A、ビタミン B2、マグネシウム、カリウム、ビタミン C であった。また、目標量を上回って摂取している対象者が多かった栄養素は、総脂質、飽和脂肪酸、ナトリウムであった。また、摂取エネルギーおよび栄養素摂取量に関して、寄与が大きかったのは肉類および乳類、次いで野菜類、穀類であった。一方で、種実類、きのこ類はほとんど栄養素摂取に寄与していなかった。本研究は、障害児における栄養素摂取量に対する食品群の寄与率を検討した初めての研究である。

 

 

 

 

 

 

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