メールマガジン「Nutrition News」 Vol.226
2020年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
食事タイミングとうつ症状発症のメカニズム解明
早稲田大学 先進理工学部 電気・情報生命工学科 生理・薬理学研究室 

原口 敦嗣 先生

要旨

 概日時計とは、睡眠・覚醒リズムや食欲、ホルモン分泌などの生理機能に概日リズム(24時間周期)を作り出す機構のことであり、乱れた食事タイミングが概日時計を乱すこと、うつ病や肥満患者においてホルモン分泌などの概日リズムが乱れていることが分かっている。乱れた食事摂取タイミングがうつ症状などを誘発させるかについては分かっていないが、食事摂取タイミングが乱れている「夜食症候群」の患者の多くはうつ症状を有していることが報告されており、さらに通常のうつ病とは違い、夕方にうつ症状を示すことが分かっている。我々は給餌条件を制御することで食餌の摂取タイミングを乱したモデルマウスを作成し、その給餌条件下で飼育することで、非活動期開始時(ヒトにとっての夕方に相当)にうつ様行動を示すことを報告している。そこで、本研究ではメカニズム解明に努めることとした。その結果、モデルマウスでは海馬におけるCREBの活性化率(リン酸化率)が非活動期開始時に極端に低下していること、セロトニン1B受容体のアゴニスト投与によってうつ様行動とCREBのリン酸化率が改善されることを見出した。以上の結果から、食事の摂取タイミングが乱れることでセロトニン1B受容体下流のCREBリン酸化率が低下し、結果としてうつ症状を誘発してしまう可能性が示唆された。

 

 

 

 

 

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