メールマガジン「Nutrition News」 Vol.216
2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
女子大学生長距離陸上選手の「利用可能エネルギー不足」の現状と月経およびコンディションに及ぼす影響
京都光華女子大学 1)
奈良女子大学大学院 2)
中木 直子 先生 1) 2) 森本 恵子 先生 2) 佐竹 敏之 先生 1)
2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
女子大学生長距離陸上選手の「利用可能エネルギー不足」の現状と月経およびコンディションに及ぼす影響
京都光華女子大学 1)
奈良女子大学大学院 2)
中木 直子 先生 1) 2) 森本 恵子 先生 2) 佐竹 敏之 先生 1)
要旨
目的:本研究では低体重であることが求められがちな長距離陸上選手を対象に、食事摂取状況と運動量からエネルギー収支の現状を把握し、月経周期や月経随伴症状および疲労骨折といった心身のコンディションに及ぼす影響を検討した。
方法:女子大学生長距離陸上選手42名(Runners群)と、対照として運動習慣のない女子大学生53名(Control群)を対象とした。体重、体脂肪率、血中ヘモグロビン推定値、踵骨の骨密度の測定、活動量・歩数の計測、食物摂取頻度調査法による食事調査、月経随伴症状や疲労骨折に関するアンケート調査を行った。また、黄体期に採取した唾液と尿を用い、女性ホルモンのエストラジオール・プロゲステロン(Pro)濃度と、骨吸収指標となるⅠ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)濃度の分析を行った。
結果・まとめ:Control群と比較して、Runners群はエネルギー摂取量・活動量共に多かったが、体重・体脂肪率は低かった。一方、「利用可能エネルギー不足」が与える心身のコンディションへの影響は認められなかった。しかし、Runners群はControl群よりも唾液Pro濃度が低く、女性ホルモン濃度の低さが明らかになった。また、疲労骨折経験者の割合が多く、尿中NTX濃度が基準値を超える高さであったことから、骨吸収が亢進している可能性が示唆された。