メールマガジン「Nutrition News」 Vol.211
2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
食事と腸内微生物叢の相互作用から読み解く疾患発症リスク
日本人の大規模メタゲノム解析
東京医科大学 消化器内視鏡学
国立国際医療研究センター 消化器内科 

永田 尚義 先生

要旨

 日常の食習慣や生活習慣が腸内細菌の構成異常を引き起こし、その変化が病気と健康に密接に関係している可能性がある。今回、2,700例の日本人を対象に、糞便のショットガンメタゲノム解析を行い、食習慣と腸内細菌との関連を明らかにした。まず、大規模な糞便サンプルの収集と保存に関しての予備研究では、大腸内視鏡の前処置(2L下剤)後のサンプルは、腸内細菌及びメタボロームに著明な影響を及ぼすため避ける必要があると判明した。また、保存液なしの容器で便採取すると冷蔵で1日、室温で排便当日に持参する必要があり、キャリブレア培地容器は、冷蔵で7日、室温では翌日までに持参する必要性がわかった。2,700例の解析では、年齢、アルコール、体重、身長、性別因子が腸内細菌叢への影響が強く、食習慣では牛乳、果物摂取、漬物、ヨーグルトが有意な影響因子であった。様々な食習慣で異なる腸内細菌種変化を認めたが、乳製品摂取と共通して動く菌種は共通していた。牛乳の摂取頻度とBifidobacteriumの割合は正の相関を示した。

 

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