メールマガジン「Nutrition News」 Vol.205
健康・栄養に関する学術情報
腸内細菌は摂食障害や神経症やせ症にも関係しているかも

 

 人の腸内には1000種類40兆個の細菌が生息しています。かつては、乳酸菌やビフィズス菌などのいわゆる善玉菌による整腸効果が注目されていましたが、21世紀になってからは、抗アレルギー、炎症抑制、感染予防、メタボ予防、骨強化、神経系制御など、その他の多様な効果が報告されるようになりました。今回は、精神・神経疾患である摂食障害や神経性やせ症にも腸内細菌が関係することを示した研究を紹介します。

 

 人工的に無菌状態で飼育した無菌マウス(GF)と通常の環境で飼育したマウス(SPF)に心理ストレスをかけたところ、血中のストレスホルモンの値がGFマウスではSPFマウスの倍以上上昇しました。また、行動試験により不安が有意に高まっていることも分かりました。興味深いことに、GFマウスにSPFマウスの腸内菌を移植してやるとストレスが軽減されたことから、腸内細菌がストレス抑制に関わっていると考えられます。

 

 不安や抑うつは神経性やせ症(AN)を引き起こすと考えられていますが、AN患者と健常者の腸内細菌叢を解析・比較したところ、AN患者では総菌数が少ないばかりでなく、Clostridium属やBacteroides属の一部の菌が有意に減少していることが見いだされました。神経性やせ症の患者さんの腸内環境を改善できれば、症状の改善に役立つかもしれません。

 


参考

詳細は下記論文をご参照下さい。

須藤信行 「腸内細菌と摂食障害」
医学と薬学 2020;77(9): 1291-1297

 

 

 

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