メールマガジン「Nutrition News」 Vol.147
健康・栄養に関する学術情報
腸内細菌群集構造のメタゲノム解析
 腸内細菌が私たちの健康維持に大きな役割を果たしていることは多くの研究結果から明らかとなり、専門家だけではなく一般の方々の関心も高くなっています。しかし、腸内にどんな菌がいるのか? それらの菌はどういう性質を持って、どういう影響を宿主である人間の健康に及ぼすのか?といった研究の内容は詳細には広く理解されていないのが現状です。
 腸内細菌叢、特に大腸内や糞便中の菌叢は、酸素があると生育できない嫌気性菌が大部分を占めています。1960年代に嫌気性菌培養法が確立され、培養法による研究が進められました。そして、1990年代になって分子生物学的手法を用いて腸内細菌叢を解析する技術が発展してきました。熟練を要する培養法に比べて、簡便な解析法の普及にともない多くの分野の研究が急速に展開されました。
 今回は腸内細菌叢のDNAを対象に、どんな菌がどれほど存在しているのか?どんな遺伝子を腸内細菌は持っているのか?(すなわち、どんな機能を腸内細菌は果たす可能性があるのか)を解析する手法について解説した論文を紹介します。
 
(内容)
腸内細菌叢メタゲノム解析の概要について述べた後、菌のDNAを抽出してその配列を分析する方法、各種細菌由来の混在したDNAから得られた膨大な配列データを並び替え等の処理を行って菌種毎のデータとして整理する方法、それを既存の分類学的データベースや遺伝子機能データベースと照合して分類学的地位や遺伝子機能の推定を行う方法などを、次のような事項に分け簡潔に解説しています。

1. メタゲノム解析の概要
2. 16Sとフルメタゲノム
3. サンプルとメタデータ
4. DNA抽出法
5. シーケンサーによる違い
6. 計算機環境の構築
7. アセンブリ方法
8. 系統アサイン
9. 機能アサイン

 参考

  
詳細は下記論文をご参照下さい。
 
山田拓司 
「腸内細菌群集構造のメタゲノム解析」
腸内細菌学雑誌 Vol. 29, 19-20, 2015 

本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/29/1/29_19/_pdf
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