メールマガジン「Nutrition News」 Vol.142
健康・栄養に関する学術情報
夜型指向性が若年女性の自律神経活動,胃運動および食欲感覚の日中の変動に及ぼす影響
 ヒトを含む地球上の多くの生物の生命活動は地球の自転と同じ約24時間の概日リズムを有しており、内分泌や神経系の活動も身体活動・休息・睡眠のリズムと同期していることが知られています。しかし、現代社会では深夜までの産業・経済活動やライフスタイルの夜型化が急速に進行し、睡眠時間短縮や入眠時間遅延、夜の食事摂取などがみられています。人類数万年の歴史の中の僅か数十年以内に生じた劇的な変化がヒトの身体に及ぼす影響を調べることは、健康維持の方策を考える上で重要なことです。  
 一方、生活リズムの指向性には個人差があり、朝型(日中に活動しやすいタイプ)と夜型(夕方から夜間にかけて活動しやすいタイプ)があることが知られています。今回紹介する論文は、朝型‐夜型質問紙により得られたスコアで被験者の若年女子大学生を朝型傾向群と夜型傾向群に分け、自律神経活動やその影響下にある胃運動や食欲感覚の日中の変動を比較したものです。
 
(内容)
“朝型と夜型では体内時計支配下にある自律神経活動や胃運動・食欲感覚の日中の変動が異なる”という仮説を立て、実験による検証を行った。前夜22時より絶食した若年女性34名の胃電図、心電図(心臓自律神経活動)、食欲感覚、眠気、深部体温(耳内温)を8-20時まで1時間毎に測定した。食事と間食は定時に供した。全測定後に朝型-夜型を質問紙によりスコア化し、中央値以上を朝型傾向群、未満を夜型傾向群として結果を比較した。夜型傾向群は朝型傾向群と比べて、終日、交感神経活動優位の自律神経活動と高い心拍数、眠気スコアが示された。また、午前中の空腹感スコアが低く、食後胃運動の周波数シフトに有意な上昇を認めなかった。本結果より、午前中の食欲や活動が減弱しやすい夜型傾向群の特徴が示唆された。

 参考

  
詳細は下記論文をご参照下さい。
 
本窪田直子、駒居南保、鈴木麻希、林育代、森谷敏夫、永井成美 
「夜型指向性が若年女性の自律神経活動,胃運動および食欲感覚の日中の変動に及ぼす影響」
日本栄養・食糧学会誌 69 (2) : 65-74,2016

本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/69/2/69_65/_pdf 
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