メールマガジン「Nutrition News」 Vol.135
健康・栄養に関する学術情報
呼気中水素分析による朝食内容の検討
難消化性オリゴ糖や食物繊維は小腸で消化吸収されにくく、多くは大腸に達し、そこに存在している腸内細菌に代謝されます。代謝産物として短鎖脂肪酸の他に二酸化炭素、メタン、水素などのガスが生成されます。代謝産物の量やバランスが適切であれば腸内環境の改善を通じた整腸効果につながりますが、不適切だと膨満感・鼓腸・下痢などを引起すこととなります。
生成されたガスの一部は血流を通じ肺から呼気として排出されます。呼気中の水素ガスは乳糖不耐症の診断にも利用されます。また、水素ガスは体内での活性酸素消去作用が注目されていますが、水中での溶存量をはるかに超える濃度の水素が呼気から検出されます。
今回は、異なる種類の朝食を摂取させた時の、呼気中水素濃度の経時変化および腹部の自覚症状を調べた論文を紹介します。
 
(内容)
121名の女子大生の朝食内容実態調査を行い、その結果に基づき試験食を米飯食、パン食、シリアル食とした。いずれの試験食も食物繊維に富む食事内容とし、9名の女子大生被験者に朝食として摂取させた。経時的に呼気中の水素濃度、血糖値、自覚症状を測定した。その結果、呼気中の水素濃度・総排出量は米飯食摂取で他の食事に比べて有意に高くなった。また、水素濃度の経時変化から推定した小腸通過時間も米飯食摂取で他の食事より短かくなった。自覚症状としては、米飯食摂取で満腹感が長続きし空腹感が起こる時間も遅くなり、「腹持ち」が良くなる傾向が見られた。

 参考

  
詳細は下記論文をご参照下さい。
 
青木ひかる・加賀谷みえ子
「呼気中水素分析による朝食内容の検討」
日本食生活学会誌,2014; 25 (2):93-100
 
本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/25/2/25_93/_pdf
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