講演2

座長
東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 食品科学研究室 教授
清水 誠


「学童期・思春期の食生活と心の健康」
女子栄養大学 栄養学部 専任講師
衛藤 久美

1 .学童期・思春期における心の健康
 子どもの心の健康は、様々な捉え方がある。例えば、文部科学省が平成12年に実施した「児 童生徒の心の健康と生活習慣に関する調査」では、自己効力感、不安傾向、身体的訴え、行 動の4つの指標が用いられた。また、公益財団法人日本学校保健会が2年ごとに実施してい る「児童生徒の健康状態サーベイランス調査」では、抑うつ、多動、情緒、行為、仲間、向 社会性、自尊感情、抑制不安に関する18項目が用いられた。平成26年度の同調査結果より、 心の健康状態が良くない児童生徒の割合は、小学生から中学生にかけて増加することが報告 されている。身体的・精神的に著しく成長する学童期・思春期においては、発育・発達段階 に応じた心と身体の健康状態の確保が重要である。  
 一方、食育の視点からみても、身体的・精神的・社会的発達を含めて子どもを統合的に捉 える必要性が指摘されている。

2 .子どもの心の健康に関連する主な食生活要因 
 1点目は、朝食である。朝食を毎日食べる子どもは6回以下の者に比べて、また朝食で主 食・主菜・副菜を毎日食べる子どもはそれ以外の者に比べて、“集中したり、すばやく考え たりできないこと”(集中力)が「しばしば」または「ときどき」あると回答する割合が低かっ た。同様の関連が、疲労感や忍耐力においても、特に女子でみられた。  
 2点目は、間食や夜食の摂取である。自覚症状個数が少ない中学生において、間食の摂取 頻度が高い者、就寝前の間食・夜食の摂取頻度が高い者の割合が低かった。  
 3点目は、家族との共食である。子どもの良好な精神的健康状態は、家族と一緒に食事を 食べる共食頻度と正の関連が、逆に子どもが一人で食事をする孤食の頻度と負の関連がみら れることが報告されている。また、家族一緒の食卓が安らぎの場となっていると回答した中 学生は安らぎの場となっていない者に比べて、イライラ感、根気のなさ、登校忌避感がある 者の割合が低いことが報告されている。  
 このように、食事のリズムや食事内容に加え、誰と一緒に食事を食べるか、食卓が安らぎ の場となっているかといった要因が心の健康と関連している。

2 .まとめ
 学童期・思春期の子どもの心の健康は身体、行動、精神、発達といった様々な側面から理 解することが重要である。子どもの心の健康に関わる要因は多数あり、しかも複雑に絡んで いる。食事は、栄養摂取だけではなく、心の安らぎを感じることができる場でもあり、心の健康との関連も大きい。従って、安らぎを与え心地よさを感じるような食事の場となるよう 配慮することが、成長期の子どもの心の健康の維持・向上につながると考えられる。

 

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