開会挨拶

公益財団法人ダノン健康栄養財団 理事長
東京大学 名誉教授
清水 誠

 
 
 

 フランスに本社を置く国際的食品企業「ダノングループ」が設立した非営利学術組織「公益財団法人 ダノン健康栄養財団」と「公益社団法人日本栄養士会」の共催により毎年開催している本フォーラム ですが、今年は 4 年ぶりに実地での開催となりました。以前に比べると会場の規模が小さくなって いますが、オンラインでの配信は継続しますので、昨年同様、全国各地から大勢の方々が参加して 下さることを期待しています。

 さてこの 3 年間、我々は新型コロナウイルス感染症に対応するために、さまざまな生活様式・行動 様式の変化に取り組んできました。先の見えない不安の中でどのように社会活動を維持するか、いろ いろと知恵を絞った 3 年間だったように思います。その結果、新しい安全管理システムの構築、会議 等のオンライン化、効率的な勤務形態への移行、そして感染症や免疫に関する科学リテラシーの向上 など、社会にとって有意義な変化も生まれました。しかし、同時にこの 3 年間で失われたものの多さ、 大きさを考えると言葉になりません。

 当財団が重要視してきた食・栄養・健康の面からいえば、コロナ禍では食事バランスの悪化、孤食 や黙食の増加、運動不足など、望ましくない生活様式が社会に拡がり、それが小児から高齢者まで すべての世代の健康に負の影響を及ぼしたと感じます。コロナ肥満という言葉も生まれましたが、多様 な疾患につながる身体的・精神的状態である「フレイル」もコロナ禍で注目されました。家にこもる ことが多くなったために進行する身体的フレイルはもちろん、精神的なフレイルの増加も懸念される ようになりました。そこで、今回の健康栄養フォーラムは、フレイルの問題を広い視点から取り上げ ることに致しました。

 基調講演では、大内尉義先生(東京大学名誉教授)に、フレイルの概要および身体的フレイルに ついて総括していただきます。次いで、大塚 礼先生(国立長寿医療研究センター部長)に精神・ 心理的フレイルについて、また葛谷雅文先生(名古屋大学名誉教授)に社会的要因という視点からの フレイルについて講演をしていただきます。さらに、天野敦雄先生(大阪大学大学院歯学研究科教授) より、身体的フレイルの中でも最近注目されているオーラルフレイルについてご講演をいただくこと にしました。運動や食との関連で語られることが多いフレイルですが、他にも多くの要因があること をこのフォーラムで学ぶことが出来るだろうと期待しています。

 この 3 年間充分に活動できなかった栄養士、福祉士などの皆様は、これからコロナ禍が残した様々 な課題の解決や将来への対応にお忙しい日々を送られることと思います。本フォーラムで提供される フレイルの情報が皆様の今後の活動においてお役に立てば幸いです。

 

 

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