メールマガジン「Nutrition News」 Vol.102
健康・栄養に関する学術情報

腸内菌叢研究の歩み
 
腸内細菌がヒトの健康・疾病に大きな影響を持つことが明らかにされており、世界中で競って研究が進められています。ガンや炎症性腸疾患、アレルギーなどに加え最近では肥満や自閉症などにも関与することが報告されています。腸内細菌叢の解析には、現在では分子生物学的手法(細菌の遺伝子配列を調べる方法)が多く用いられるようになっています。しかし、腸内細菌に関する基礎的知見については嫌気培養法を開発し嫌気生菌が腸内での優勢菌であることを明らかにした光岡知足博士らの研究が世界をリードしてきました。
 

今回はその研究の中心を担ってきた光岡博士が腸内細菌研究の歴史を振り返って解説した論文を紹介します。

 
腸内菌叢研究は、19世紀末期に始まり、20世紀前半では研究はゆっくりした歩調で進められた。
20世紀後半、腸内菌叢研究は飛躍的に進展し、
 
1) 腸内菌叢の培養法の開発 
2) 腸内嫌気性菌の分類・同定の確立 
3) 腸内菌叢の生態学的法則の発見 
4) ヒトの健康における腸内菌叢の役割 
 
などが明らかにされ、1980 年には腸内細菌学(intestinal bacteriology)という境界領域の学問分野が樹立された。
この研究が基礎となって、機能性食品(プロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックス)が開発された。
1980年代には腸内細菌による免疫刺激、腸内菌叢研究に分子生物学・遺伝学手法の適用、腸内菌叢の宿主に及ぼす影響とその作用機構などの研究が開始された。

 参考

  
 詳細は下記論文をご参照下さい。
 
 光岡 知足
 腸内菌叢研究の歩み
 腸内細菌学雑誌 25 : 113-124,2011
 
 本論文はJ-STAGEにてオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。
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