メールマガジン「Nutrition News」 Vol.180
「少しの工夫で無理なく備える、災害時の“食”」
 近年、日本各地で地震や水害などの大規模な自然災害が起こっています。言うまでもなく、災害時にはまず身の安全を図ることが第一です。しかし、災害自体が沈静化しても、ライフラインが絶たれた場合には、その後の生活に大きな支障をきたします。「食事」もその1つです。交通が麻痺すればその地域への食料供給が滞り、水道や電気、ガスなどが利用できなくなれば調理を行うことも困難になるからです。そのため、災害に備えて日頃から食品の備蓄をしておくことはとても重要です。しかし、中にはその重要性を認識しながらも「何を用意すれば良いのか分からない」「忙しくてなかなか準備できない」などの理由で先延ばしにしていたり、「やってはみたが、備蓄しておいた食品の賞味期限が切れてしまった」など備蓄がうまくいかなかったりするケースもあるのではないでしょうか。

 平成31年3月、農林水産省は災害時に備えた食品備蓄についてのパンフレットを公表しました。一般の方に向けたパンフレット「災害時に備えた食品ストックガイド」では、災害の時のためだけに用意しておくのではなく、普段の食生活の一部としても取り入れられ、且つ災害時にも活用できるような備蓄の工夫(ローリングストック)や、災害時でも簡単に作れる料理のレシピなどが紹介されています。

ローリングストックで一定量の備蓄を保つ

 ローリングストックとは、日常的に使用する食品を少し多めに買い置きし、食べた分を買い足すことで、常に一定量の食品を備蓄する方法です。災害用に備蓄しておく量は「最低3日分(できれば1週間分)×家族の人数」とされています。ローリングストックでは、普段使っているものを補充していくことから常に一定量の新しい食品を備蓄しておくことができるため、必要な時に賞味期限が切れていたということも起こりにくくなります。また、非常時とはいえ、普段とかけ離れた食事をとることはストレスがかかるものです。災害時も普段食べ慣れたものを食べることができるのは、ローリングストックのメリットの1つです。

備蓄する食品選びのポイント

 災害時の栄養摂取の問題点として、炭水化物に偏りやすいことや、ビタミン・ミネラル・食物繊維源となる野菜が不足しやすいことが挙げられます。ツナやサバ、サンマなど魚介の缶詰や、焼き鳥やコンビーフなど肉類の缶詰を備蓄しておくと、手軽にたんぱく質を摂ることができ、長期保存もできるので便利です。また、災害時のビタミン・ミネラル等の摂取源として、じゃがいもや玉ねぎ、かぼちゃなどの日持ちする野菜、切り干し大根などの乾物、野菜ジュースなどを備蓄しておくと良いでしょう。

 なお、食品の備蓄だけではなく、災害により電気やガスなどのライフラインが絶たれることを想定し、カセットコンロなどの熱源を確保しておくことも重要です。

食事に特別な配慮が必要なケース

 大規模な災害時の栄養摂取において、避難所等で配られる食事はとても重要な役割を果たしますが、中にはそれを食べることができない方もいます。ミルクや離乳食が必要な乳幼児、高齢や障害などで普通の食事を食べることができない方、慢性疾患や食物アレルギー等で食事に制限がある方などです。乳児用ミルクやおかゆ、アレルギー対応食品などの特殊食品の備蓄を行う自治体も増えてきていますが、行政の備蓄は多くはありません。要配慮者がいる家庭では、必要な食品を自ら備蓄しておくことが大切です。

特別な配慮が必要な方向けのパンフレット「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」では、乳幼児、高齢者、食べる機能が弱くなった方、慢性疾患の方、食物アレルギーの方について備蓄のポイントを示すとともに、食材をポリ袋に入れて加熱調理する「パッククッキング」の方法や、食べやすくするための工夫なども紹介されています。

 

 温かく栄養バランスの良い食事は、災害時に体調を保つだけではなく、困難な状況の中で前向きな気持ちを持つことにもつながります。このようなパンフレットも活用しながら、日頃から家庭の状況にあった十分な備蓄を行い、いざという時にもゆとりを持って対応できるようにしたいものです。

詳細は下記をご参照下さい。

家庭備蓄ポータル   

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/index.html

 

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