メールマガジン「Nutrition News」 Vol.173
健康・栄養に関する学術情報
そもそもポリフェノールって吸収されるの?
 食品中のポリフェノールは非栄養素ですが、近年いくつかの成分について保健機能が明らかにされ、各種生活習慣病予防の働きにより特定保健用食品や機能性表示食品として利用されています。また、抗菌作用、抗酸化作用、抗がん作用やホルモン様作用、脳機能への働きなどが大きく注目されています。これらの多くは体内に吸収されて作用を発揮することが期待されますが、吸収率は概して高くはありません。また、その吸収機構についてはよく理解されていないのが現状です。今回は、栄養素を含め、消化管における食品成分の吸収のメカニズムについての初歩からの紹介とともにポリフェノールの吸収機構について解説した論文を紹介します。


(内容)
 本稿ではまず食品成分一般の吸収のメカニズムについて概説されている。食品成分などの物質が体内に輸送されるのに重要なポイントとして、疎水性、輸送経路、駆動力、輸送体分子が挙げられる。それらについて、疎水性物質と親水性物質の吸収機構の違い、輸送経路として細胞間隙経路と細胞内経路があること、駆動力として能動輸送と受動輸送があること、および輸送を担う輸送担体などについて紹介している。

 ポリフェノール化合物については、腸管上皮細胞への流入ステップ、腸管上皮細胞内における処理ステップ、腸管上皮細胞からの排出ステップ、細胞間間隙経路によるポリフェノールの輸送についての紹介されている。さらに、ポリフェノールが機能を発揮するのに必要な認識分子、腸内細菌叢によるポリフェノールの代謝とともに免疫担当細胞による高分子物質吸収の可能性などについて述べられている。


参考

詳細は下記論文をご参照下さい。

小酒井 貴晴 「腸管上皮における栄養機能的化学物質(ポリフェノール)の輸送と認識  そもそも、ポリフェノールって吸収されるの?」
化学と生物 55 (6), 426-433,2017

本論文はオンライン公開されており無料で閲覧出来ます。https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/55/6/55_426/_pdf/-char/ja

 

  • ごはんだもん!げんきだもん!~早寝・早起き・朝ごはん~
  • ダノングループ・コーポレートサイト

ページトップへ戻る