2015年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
ヒト乳幼児アレルギーにおける母乳中核酸成分の関与 
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 
   
國澤 純 先生

 アレルギー炎症性疾患は国民病と言われるほどに患者数が増大し続けている。特に乳幼児に多く認められる食物アレルギーは、患者と家族のQOLを著しく低下させると共に、時にはアナフィラキシーにより命を落とすこともある重篤な疾患である。またアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息の患者も増え続けている。近年の研究から、遺伝的な素因だけではなく食事や腸内細菌などの腸内環境因子を介した不適切な免疫応答が、アレルギー炎症性疾患のリスク因子となっていることが示唆されている。

要旨

 本研究においては、研究グループのこれまでの研究から、腸管での炎症発症因子として同定した細胞外ATPとその代謝に着目した研究を遂行した。特にアレルギー炎症性疾患の患者の多くを占める乳幼児の栄養成分として母乳に着目し、母乳中のATP/ADP比率と乳幼児のアレルギー炎症性疾患との相関に着目した研究を遂行した。
 NTT東日本関東病院小児科との共同研究として、退院時母乳と父母のアレルギー歴、子のアレルギー発症に関する情報を用いた解析を行った。親のアレルギー歴と子供のアレルギー発症の有無から4つのグループに分類し、それぞれのグループから4から15名のサンプルを用い、それぞれの母乳中に存在するATP/ADP比率を測定、計算した。その結果、いずれのグループにおいても有意な差は認められず、今回の実験条件で測定した母乳中ATP/ADP比率は、アレルギーの発症因子とはならないことが判明した。

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