基調講演
座長
公益財団法人ダノン健康栄養財団 理事長
愛知学院大学心身科学部健康栄養学科 教授
大澤 俊彦 先生
「これからの日本の健康づくり ―健康日本21(第二次)―」
厚生労働省健康局がん対策・健康増進課
栄養指導室長
河野 美穂 先生
1 .「健康日本21(第二次)」で目指す姿と基本的な方向
健康日本21(第二次)は、平成25年度から10年間の計画であり、少子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣及び社会環境の改善を通じて、子どもから高齢者まで全ての国民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち、ライフステージに応じて、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなることをねらいとしている。
基本的な方向としては、①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底、③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上、④健康を支え、守るための社会環境の整備、⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境、の5つの方向が示されている。
2 .「健康日本21(第二次)」の目標
健康寿命の延伸及び健康格差の縮小の実現に向けて、生活習慣病の発症予防や重症化予防を図るとともに、社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上を目指し、これらの目標達成のために、生活習慣の改善及び社会環境の整備に取り組むことを目標としている。
目標については、全体の構造を整理し、前述の5つの基本的方向に沿って、計53項目(再掲除く)の目標が設定された。目標設定に当たっては、健康づくりに関わる多くの関係者が情報を共有しながら、現状及び課題について共通の認識を持った上で、課題を選択し、科学的根拠に基づくものであり、かつ、実態の把握が可能なものを設定することとした。
具体的には、健康寿命については、平均寿命の延伸に伴い、健康寿命との差が拡大することのないよう、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加が目標とされた。また、健康格差については、地域格差に着目し、健康寿命の都道府県格差を縮小することが、目標とされた。
生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底については、我が国の主要な死亡原因であるがん及び循環器疾患への対策に加え、患者数が増加傾向にあり、かつ、重大な合併症を引き起こすおそれのある糖尿病や、死亡原因として急速に増加すると予測されるCOPDへの対策が重要な課題であることから、これらの疾患に関する目標が設定された。
社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上については、身体の健康とともに重要なこころの健康、将来を担う次世代の健康、高齢化に伴う機能低下を遅らせるために高齢者の健康に関する目標が設定された。
健康を支え、守るための社会環境の整備については、地域のつながりの強化や、国民・企業・民間団体等多様な主体による取組の促進、健康格差の縮小に向けた対策の推進に関する目標が設定された。
生活習慣及び社会環境の改善については、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康の各分野に関する目標が設定された。
3 .健康日本21(第二次)の推進に向けて
医療費の適正化など、持続可能な社会の実現に向け、予防可能な疾患の発症予防と重症化予防の徹底を図るため、その成果を数値で示すことを視野に入れ、ターゲットとなる集団の特定やニーズ、課題等十分な把握を行い、効果的な取組を推進していく必要がある。
また、個人の健康は、社会環境の影響を受けることから、生活習慣の改善とともに、社会環境の改善を推進していくことが重要であり、企業、民間団体等の積極的な参画が望まれる。