講演1

座長 
神奈川県立保健福祉大学 学長
 中村 丁字
 


 「乳幼児の栄養」 
帝京科学大学 教育人間科学部 幼児保育学科 学科長・教授
  上田 玲子
 

【乳幼児の特徴】  
 乳幼児期の大きな特徴は発育・発達することです。発育・発達するということは変化をするということです。私たちは一生変化をしていきますが、乳幼児期は未熟から成熟に向かって変化しその変化の仕方が著しいのです。
 小さかった体は大きくなり、寝てばかりいた乳児が、座り、立ち、歩けるようになり、食に関しても「大人に食べさせてもらう」から「自分の手で食べられる」ようになっていきます。これは自立へ向かっての変化ともいえます。子どもは生まれながらにしてその方向性を持っていますが、周囲の適切な援助なしにはその力を十分に発揮できません。
 子どもは乳児、幼児、少年、青年と変化しながら成人になります。そしてその変化は幼いほど早いという特徴があります。幼児では1 歳と3 歳での差は、はっきりわかりますが、生まれたばかりの新生児と1 か月児では明らかな違いがあります。このことは、生まれた時と1 か月後では栄養の考え方、方法、内容などに変化があることを示しています。生まれた時、1 週間後、1 か月後、5 ~ 6 か月、7 ~ 8 か月、9 ~11か月、1 ~ 2 歳、3 ~ 5 歳においてそれぞれ特徴を持っています。そしてその変化には個人差があります。このような乳幼児の著しい変化と個人差をよく理解して、栄養の方法や食事内容、食生活のあり方を考えていく必要があります。
【乳幼児の栄養】
 乳幼児は成人に比べて体は小さいのですが、小さい割にはエネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を多く必要としています。その理由として
・発育に必要
 乳幼児期は特に発育が盛んな時期であり、体重でみると、1 歳児でおおよそ出生時の3 倍、4 歳で5 倍にもなります。このように発育が盛んな時は、たんぱく質をはじめとして脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの様々な栄養素が必要となります。
・活動に必要
 乳児期も後半になると運動量が増え、幼児期には活発に動き回り、片時もじっとしていないようになります。このように日常の活動量が他の年代に比べて大きいため、消費するエネルギーを十分に補う必要がでてくるのです。
 本講演では、このような考え方をもとに、乳児期においては、乳汁栄養に関しては母乳栄養や人工栄養について、離乳期に関しては咀嚼機能を考慮した離乳食の進め方、離乳食の調理等について、幼児期においては、幼児食の基本的な進め方、そして手指機能の発達と食具、さらに栄養状態の把握や食べ物の嗜好に関して具体的にお話をしたいと思います。

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