対談

座長 
愛知学院大学 心身科学部 健康栄養学科 客員教授
大澤 俊彦

 


「障害者のスポーツ栄養」
神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科・大学院保健福祉学研究科 教授/管理栄養士/公認スポーツ栄養士
鈴木 志保子

パラリンピアン(射撃)
日本郵船株式会社 広報グループ 社会貢献チーム
田口 亜希

 
 



 2020 年に向けてアスリートへの注目が高まっている。パラリンピック種目のアスリートへも熱い視線が注がれる中、オリンピック種目のアスリートと「何が違うの?」「どのような視点で観戦するとより見応えがあるの?」などの質問や疑問をお持ちの方もいると推察する。
 この対談では、パラリンピアンの日本郵船株式会社 広報グループ 社会貢献チーム 田口亜紀氏とともに、障がい者スポーツの魅力と栄養管理の現状とこれからについて話を進めていく。
 障がい者スポーツの競技種目は、オリンピックと同じ競技種目名であっても、ルールが異なっていたり、障がいの状態からクラス別で競い合ったり、障がい者スポーツ独自の競技種目があったりする。
 栄養管理をする上で課題となることは、障がいの状態をどのように栄養管理に反映させるかだ。エビデンスはほとんどないといっても過言でない。なぜなら、障がいの状態がさまざまであり、対象者をカテゴリー化してとらえることができないからだ。例えば、バスケットボール選手を対象とした研究の題名を検証してみよう。健常者アスリートでは、「成人男子エリートバスケットボール選手の栄養管理に関する研究」、障がい者アスリートでは「成人男子脊椎損傷エリートバスケットボール選手の栄養管理に関する研究」となる。アスリートの障がいの状態によって、栄養管理の方法が違うため、脊椎損傷のアスリートに限定して研究成果を発表することになる。研究の目的によっては、脊椎損傷の状態も異なるため、さらなる細分化を行わなくては、その研究の価値が見いだせないこともある。
 このように、エビデンスを蓄積することが難しい状況ではあるが、エビデンスの必要性が高まっていることは確かだ。現在、障がい者アスリートの栄養管理についての基礎的研究を進めているところなので、その方法などをお話しできればと考えている。
 また、パラリンピック開催時の選手村の食堂の状況や、「美味しさ」など田口氏から生の声を伺うことにより、2020 年に向けて「日本ができること」を考えてみたいと思う。
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