メールマガジン「Nutrition News」 Vol.120
「日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方(2)―「健康な食事」の基準とマーク―」
 「健康な食事」を実現するためには、その実践につながる「食事」を整え、食べる機会を拡大し、その継続を支援する方策が必要です。そのため、検討会では、「健康な食事」の食事パターン(どういう種類の食品をどれだけ食べたら良いのか、それらが含まれる料理の組み合わせとはどういうものか)についても検討され、1食当たりの料理を組み合わせることで「健康な食事」の食事パターンを実現するための基準が策定されました。この基準は食事を提供する事業者が使用するものであり、この基準を満たした料理を市販する場合には、決められたマークを表示することができます。 

基準の策定

 「健康な食事」の食事パターンに関する基準は、生活習慣病予防に資することをねらいとして策定されました。 基準の策定にあたっては、食品群ごとのエネルギー・栄養素の特性を踏まえ、料理Ⅰ~料理Ⅲの区分が定められました。それぞれの区分について、健康の維持・増進に必要な栄養バランスを確保する観点から基準が定められています(表1)。 料理Ⅰは「主食」で、炭水化物、食物繊維の適切な摂取を期待するものです。料理Ⅱは魚、肉、卵、大豆・大豆製品などの「主菜」で、たんぱく質や脂質の適切な摂取を期待するものです。料理Ⅲは野菜、いも、きのこ、海藻類などの「副菜」で、ビタミンやカリウムなどのミネラル、食物繊維の適切な摂取を期待するものです。 過剰摂取を防ぐため、エネルギーについては、料理Ⅰ:300kcal未満、料理Ⅱ:250kcal未満、料理Ⅲ:150kcal未満、食塩の量については、いずれの区分も1g未満という基準が定められました。なお、料理Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを組み合わせた場合の1食当たりのエネルギー量は650kcal未満(調理に使用する油脂や調味料のエネルギーを含む)、食塩は3g未満とされています。

表1 「健康な食事」の食事パターンに関する基準の内容と留意事項
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『日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書』をもとに作成

マークの策定

 消費者が「健康な食事」の基準を満たしていることが一目で分かり、手軽に入手し、適切に組み合わせて食べることができるよう、公募によりマークが決定しました(図1)。円を三分割し、シンプルな線や面で3つの料理を表現したデザインです。料理Ⅰは、代表的な米を稲穂で表しています。料理Ⅱは、魚のウロコがモチーフになっており、肉をイメージする赤色を用いることで、たんぱく源となる食品を主材料とした料理を表しています。料理Ⅲは、野菜の葉を絵柄と色で表しています。  「健康な食事」の実践を継続するためには、おいしさや楽しみも重要であることから、マークとともに、旬の食材や地域産物の利用などの情報を商品(料理)のアピールポイントとして積極的に提供することが推奨されています。 なお、マークの対象となるのは、市販される1食当たりの料理(調理済みの食品)であり、提供される場所(外食、給食など)や形態(パック詰め、パウチ詰めなど)を特定するものではありません。
 
図1 「健康な食事」の普及のためのマーク
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 『日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書』より
 

今後の展望

 「健康な食事」の食事パターンに関する基準を策定し、マークを普及するという今回の施策は、「食物と情報」、「健康とおいしさ」、「エビデンスと分かりやすさ」など異なる要素の調整を図りながら進めるという点で、新たな取り組みと言えます。今後も、日本の食の特徴を生かし、「健康な食事」を構成している様々な要因がこれまでにない新たなつながりを生み出し、あるいはこれまでのつながりをさらに充実させていくことで、社会全体で「健康な食事」を実現し、健康寿命の延伸を実現していくことが望まれています。
 
 
 
参考

・日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書 (厚生労働省)http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059931.html

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