Vol.40(3) トピックス「輸入食品」

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.40
トピックス「輸入食品」
輸入食品

低い食料自給率

近年、わが国では食料自給率の低さが問題となっています。平成19年度の食料自給率はカロリーベースで40%(概算値)に過ぎず、これは他の先進国と比較しても最低の水準と言えるものです。

日本の食料自給率が低下した背景には、食生活の変化があります。
食料自給率が約70%だった昭和40年頃の食生活は、米飯を中心としたものでした。

しかし、食生活の欧米化が進み、それに伴い副食の占める割合が増加しました。
自給率の高い米の消費が減り、自給率の低い肉や卵などの畜産物、油脂などの消費が増加したため、全体的な自給率が低下したのです。

また、日本の耕地面積や就農人口は減少傾向にある一方で、最近では総菜や調理冷凍食品のような加工食品や外食も増加しました。
食品産業が求める要望に日本国内のみの生産では対応しきれなかったことも、食料自給率低下の一因となりました。

国は、食育や地産地消の推進などにより、カロリーベースの食料自給率を2015年度までに45%とすることを目標に掲げていますが、日本の食卓はその6割を輸入に依存しているのが現状です。

そんな中、多くの消費者が輸入食品の安全性に不安を感じているようです。農林水産省が平成20年10月31日に公表した「平成19年度食料品消費モニター第3回定期調査結果」でも、食品について「不安」と回答する人が最も多い項目は、輸入農産物や輸入原材料等の安全性についてでした。また、「不安」と回答した人の割合は、平成17年度調査に比べて増加しています(図1)。

図1 食品についてどう感じているか
(平成19年度食料品消費モニター第3回定期調査結果より)

食品の安全性確保については、食品安全基本法第4条に「国の内外における食品供給行程の各段階において適切な措置を講じることにより行わなければならない」と定められています。輸入食品においても、この観点から対策がなされています。

輸入食品の監視体制

輸入食品の監視は、「輸出国」「輸入時」「国内流通時」の3段階のチェック体制で行われています(図2)。

輸入食品は、輸出国における輸出前検査などの衛生対策を経て、日本の海空港に運ばれます。輸入者は、輸入の都度「食品等輸入届出書」を検疫所に提出する必要があります。
検疫所の食品衛生監視員は、届出書の記載内容の食品衛生法への適合性について審査します。審査の結果、必要に応じて検体を採取して残留農薬や微生物、カビ毒などについての検査が行われます。この検査には「モニタリング検査」と「命令検査」があります。

モニタリング検査

検疫所では、多種多様な輸入食品の食品衛生上の状況を把握する目的で毎年策定される「輸入食品監視指導計画」に基づき、輸入しようとする食品の中から、計画的に一定量の抜き取り検査を行っています。この検査を「モニタリング検査」と言います。
モニタリング検査における検査項目や検査頻度は、その食品ごとに、輸入量や過去の違反率などを勘案し、統計学的に一定の信頼度で法違反を確認可能な検査数を基本として決められます。

モニタリング検査は貨物を留め置かずに行われる検査で、検査をしている間もその食品の輸入手続きを進めることができます。そのため、モニタリング検査の対象となるのは、食品衛生法違反の蓋然性が低く過去にも違反がない場合などに限られます。モニタリング検査で違反が確認された場合は、国内に流通した違反品も回収・廃棄されます。

命令検査

食品衛生上の危害を未然に防ぐため、食品衛生法違反の蓋然性が高いものについては、厚生労働大臣が輸入者に対してその食品等の検査を命じることができます。この検査を「命令検査」と言い、輸入の都度、輸入者の費用負担のもとで行われます。検査の結果、食品衛生法に適合していると判断されるまで貨物は留め置かれ、輸入手続きを進めることはできません。

モニタリング検査で違反があった場合、同じ輸出国の同じ商品の検査頻度は30%または50%に高められますが、1年以内に再度違反が見つかった場合、その食品等は食品衛生法違反の蓋然性が高いと判断され、命令検査の対象となります。また、アフラトキシンなどのカビ毒やO-157などが検出された場合は、ただちに命令検査となります。

届出審査や種々の検査を経て、食品衛生法の規制に適合していることが確認されれば、その食品は輸入が許可され、国内に流通します。国内に流通した後には、都道府県等によって計画的な収去検査が行われています。これらの各段階において発見された違反は、その情報が輸出国や検疫所にフィードバックされます。

なお、平成19年度は、約180万件の届出に対し、約20万件(11.0%)の検査が行われています。このうち、1,150件について、食品衛生法に違反するとして、積み戻しや廃棄などの措置が講じられました。この数字は、届出件数の0.1%に相当します。

図2 輸入食品の監視体制等の概要(厚生労働省資料より)

輸入食品の安全性確保のために

命令検査やモニタリング検査強化の対象となった食品については、輸出国政府に対し、その食品の違反情報を提供しています。また、二国間協議を通じて違反原因の究明や再発防止策を講じるよう要請しています。残留農薬やBSE(牛海綿状脳症)など、輸出国における生産段階での衛生対策の確認が必要な場合は、輸出国へ専門家を派遣し、現地調査も行っています。

その他にも、輸入者が自主的な衛生管理を実施するよう指導したり、海外での食中毒や違反食品などの情報に基づいて輸入時の監視体制を強化するなど、国内外における衛生対策を推進し、輸入食品の安全性確保を図っています。

参考

輸入食品の安全を守るために(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html
平成19年度輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/dl/tp0130-1al02.pdf
食料自給率の部屋(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html
平成19年度食料品消費モニター第3回定期調査結果
http://www.maff.go.jp/j/heya/h_moniter/pdf/h1903.pdf


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